元自にーさん(元自衛官)の自衛隊ブログ

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初級偵察~プチレンジャー~の訓練・任務・厳しさについて

      2016/12/12

敵部隊に見つからないように、隠密に、静粛に、相手陣地の奥深くへ立ち入り相手部隊の戦力を正確に素早く味方の本部に知らせる偵察隊員になるには避けては通れない道の、プチレンジャーと呼ばれる入隊年度の10月下旬から始まる初級偵察過程についてお話します。

レンジャー訓練というのは、陸上自衛隊で一番過酷な訓練と言われており、山道をほぼ絶食状態で歩き続けたり、蛇やカエルを食べたり、災害時や緊急時に即活躍することの出来る精強な隊員を育成する目的の訓練のことです。
そこまで厳しくはないですが行う教育内容や目的が似通っているため初級偵察訓練はプチレンジャーと言われています。

この教育を受けるには、自衛隊に着隊してすぐに始まる前期教育の中での適性検査にてにて機甲科偵察に適性があり、気力体力ともに人よりも優れていないと進むことが出来ません。

実際に前期教育で偵察に希望を出していましたが、適性が合わなかったり体力が人より劣っているという理由で後期教育で機甲科の偵察に配属されない新隊員は毎年数人います。

そのほかにも、偵察ではバイクやRCVといった装甲車を使い相手部隊の偵察を行うのですが、そのバイクに乗りたいというかたが非常に多く、新隊員の中でも機甲科偵察は人気の職種となっています。

バイクに乗るには普通自動二輪免許が必要ですが、それも自衛隊内の教習所もしくは民間の教習所へバイクの教育目的であれば無料で取得することができます、それも偵察が人気の理由となっています。

では、先ほどありました初級偵察過程とは実際になにをやるのでしょうか。



プチレンジャー【初級偵察】訓練の内容

期間は1ヶ月半ほどしかありませんが、内容の濃さは前期・後期教育合わせて半年ほどあるのですが、それに匹敵します。

偵察隊で使われる武器・車両の概要、偵察隊の役割などの座学だけではなく、演習場に出てコンパスを使っての徒歩行進やMINIMIと呼ばれる機関銃の射撃も行います。

昼間だけではなく、夜間の徒歩行進もあり、それに加えて座学はテストもありますのでその勉強と時間もなければ体力も相当追い込まれます。

しかし、そのかいがあってか最初は演習場の中を歩くのだけで手一杯だったのが後半にもなると自分から相手部隊の車両や人員を見つけられるようになります。

普段、月明かりなどを特別意識することはほとんどありませんが、街灯もなにもない演習場に長い時間いると月明かりほど頼りになるものはありません。

そして、基本は少数(1~2名)で行動するためお互い連絡を密に取り、はぐれた際の集合場所などを確認しておくことが大事になってきます。

教育も終盤にかかってくると、演習場での実際に仮敵(配属される偵察隊の先輩方)を用意してもらっての総合的な演習、座学の試験が山のように始まります。

ここで踏ん張り優秀な成績をとると連隊長をもらうことが出来、来季の夏のボーナスの査定が嬉しいことになりますので、ぜひ目指していただきたいですが、これは同期の中で1名のみとなります。

演習場での訓練が終わり宿舎に戻ったら戻ったでやることは作業服のアイロンがけやテスト勉強など山ほどあります。

それに23時消灯の時間は何があっても変わりませんので、それまでに終わらずに万が一部屋に電気が付いていた場合は翌朝もしくは夜の間に何かが起こります。

何かはここでは説明いたしませんので、実際に入隊して確認していただけたらと思います。

息抜きをする時間がないと思われるかもしれませんが、辛いのは同期も同じですし若い時は寝て一晩経てば体力は回復しているので大丈夫です。

ちなみにある隊員はなにを思ったのか、同期のベッドに就寝時間が過ぎてからもぐりこむという破廉恥な行為を行っておりました。

そのように息抜き(?)をしないと訓練をやっていけないとその隊員は後述しておりました。

自衛隊の体力検定

そして、この初級偵察過程では爆破訓練もあります。

これは、限られた部隊でしか取り扱うことが出来ずその一つが偵察隊となっております。

一歩間違えれば、即死してしまうほどの火薬量を扱いますので上官も普段より相当厳しくなりますが、教育自体は非常にためになり面白いものとなっています。

実際の爆破演習では、爆破場に行き全員で環状に爆薬を設置し、その爆破の様子を数百メートル離れたところから研修します。

それだけ離れていても破片が飛んでくるかも知れないのでサングラス等は必ず着用します。

映画の爆破シーンの擬似体験が出来ます、そして、爆破した箇所を見てみるとこれが人体だったらと想像するのも怖くなるほどすさまじい痕が残っています。

と、ここまで初級偵察についてお話しました。

自衛隊に入隊することがありましたら、ぜひ偵察部隊への希望を出してほしいと思います。

他の部隊よりも、様々な銃器の射撃や爆破訓練もありますし、同期のレベルも非常に高いため自分の体力向上にもつながります。

そして、ゆくゆくはプチレンジャーではなく、レンジャー訓練にも志願していただけたら嬉しく思います。

ライター:元陸上自衛隊戦車乗り

 - 職種




kotirade

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