海上自衛隊の休暇について(艦艇・陸上)
2016/04/30
海上自衛隊も公務員ですので休暇はあります。勤務体制のときに少し話したかもしれませんが少し特殊ですので、例を挙げつつ紹介したいと思います。
艦艇勤務の長期休暇
例えばGW、民間だと2日休めば10連休!なんていわれますが、海上自衛隊の多くの部隊ではもっと期間が長いです。記憶はあいまいですがGWのときはだいたい2週間(15日)くらいでした。これは部隊や、そのとき従事している任務によるのであくまで参考です。
2週間といってもまるまる休みというわけではありません。海上自衛隊には当直というものがあります。これは年末年始だろうと天皇誕生日だろうと関係ありません。24時間365日誰かしらが艦艇で勤務しています。休暇期間中は日勤がすべて休みになり、当直員が24時間勤務をして交代すると繰り返します。
海士の当直は4日に1回なのでこれを例にすると
当直→休み→休み→休み→当直→休み→休み→休み→当直→休み
上記のようになります。
しかし、これでは遠方の実家に帰省したい者が帰れなくなってしまいます。
なので、当直の交代ができます。当直の交代自体は特別な事情があって許可をもらえれば休暇中以外でも可能です。
話しを戻して長期連休をとるには当直を交代します。例としてA士長とB士長が交代した場合です。()の中が本来のと当直の人です。
A士長
Aが当直(A)→Aが当直(B)→休み→休み→休み→休み→休み→休み→A当直(A)→A当直(B)
B士長
休み→休み→休み→休み→Bが当直(A)→Bが当直(B)→休み→休み→休み→休み(B)→休み→…
ぱっと見てAのように6連休がなくB士長が損しているように見えますが、実際はなるべく不公平が起きないように休暇期間はその都度設定されるので心配しなくても大丈夫です。Bは最後の当直の後6連休がとれるでしょう。
このように当直の交代で連休を取得します。当直が2日続くのはつらいですが、連休のため頑張っています。ちなみに、勤務体制の話しでも触れましたが夜勤明けはありません。ただ、通勤の手間を考えると夜勤明けがないほうがいいという人もいます。
ちなみに3日までなら連続当直をする人は割といます。
当直とは緊急時に最低限艦艇を行動させる人数を待機させておくためどうしても必要な勤務体制なので不満は言えません。防衛とはそういうものなんです。
余談ですが、当直を連続して勤務することを連投といいます。
陸上部隊の休暇について
陸上部隊の休暇(通信隊のみ)
私は、通信隊と呼ばれる陸上部隊しか経験していないのでそれを例にすると
通常時の当直
日勤→日勤→夜勤(当直)→夜勤明け→日勤→日勤→夜勤(当直)→夜勤明け
(日勤時が土日祝なら休みです)
休暇中の当直(交代済)
休み→休み→休み→休み→休み→休み→夜勤(当直)→夜勤明け→夜勤(当直)→夜勤明け
(夜勤明けは朝交代してお仕事終わりです)
陸上部隊の場合、夜勤の翌日は必ず夜勤明けをとる必要があるので連投はできません。艦艇勤務となぜ違うのかよくわかりません…。
これらはあくまで一例ですので部隊等によって全く違いますが、民間より連休が多くなる場合がほとんどです。
補給隊など当直員が常時配置されていない部隊ではカレンダー通りの休暇かもしれません。
あと、休暇期間とはいえ平日に休む場合は代休や有給(特休、年休という)が必要になります。艦艇勤務の場合、出航などで代休がかなり溜まりますが、新入隊員はほとんど代休が無いので休める日が少なくなるかもしれませんが最初だけなので我慢しましょう。
ちなみに特休とは特別休暇で緊急時(病気等)に休む時に使うものですが最低限残せば休暇期間で使ったりします。年休は詳しくは忘れましたが月に2日ずつ付与される有給休暇のようなものだったと思います。いずれも自由に取得することはなかなかできない(特別な事情があって承認された場合を除く)ので休暇をしっかり休むためなので文句は言わないようにしましょう。
また、何度も言いますが部隊の状況にもよるのでカレンダー通りよいかないことも多々あります。例えば、任務で出航中に「カレンダー通り休暇をください。」なんて言ったら相当怒られるか、じゃあ辞めてくださいと言われかねません。自衛隊ですから当然任務が最優先です。
では、例えばゴールデンウィーク中に出航していてゴールデンウイークは無くなってしまうのかと言えばそうではありません。不運にも出航が重なり休暇がとれなくても、日程が落ち着けばまず休暇をとらせてもらえます。休暇がズレるという認識でいいと思います。
海外派遣にいこうものなら休暇がない場合もありますが、必ず交代の艦艇がいたりするので出航しっぱなしということはありません。
せいぜい練習艦隊(防衛大学校生等の若手幹部が乗り組み世界を回りながら艦艇勤務の勉強をする部隊)の遠洋航海や砕氷艦しらせの南極探査支援の6か月~約1年が一番長い出航ですが、当然必ず日本に帰ってくるのでそのタイミングで休暇はとれます。
まとめ
海上自衛隊でも国家公務員なので必ず休暇はとれます!むしろ民間より長い場合もある。

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