元自にーさん(元自衛官)の自衛隊ブログ

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海上自衛隊の火災・戦闘時などの緊急対応訓練の様子(艦艇編)

      2016/12/12

海上自衛隊護衛艦の訓練って何するの?

訓練と一言に言っても多種多様なものがあり、職種によっても種類があります。
ここでは各職種で差のでない共通の訓練を海士の視点での経験を記述します。

全部は書ききれないので火災対応がメインになってしまいました…。

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艦船という閉鎖空間での火災対応

護衛艦に限らず艦船は出航してしまえば逃げ場のない閉鎖空間です。そのなかでの「火災の発生」は非常に危険な緊急事態であることは想像できます。

まず、火災が起きるようなことをしないのが大前提で、そのあたりは本当に厳しく指導されます。例えば喫煙に関して言えば、当然喫煙箇所は指定されているわけですが、消火については必ず灰皿(海上自衛隊でいう煙缶)に水の入った器があり、この水で消火して吸い殻を捨てるようにしています。

さて、訓練の話に戻りますが、簡単に火災の対応としての大きく種類をあげますと以下のようになります。

  • 指揮所(幹部自衛官が対応の指揮をとる場、一部海士、海曹が伝令などで待機)
  • 初期消火(火災が発生し、第1発見者とその周辺が行う対応)
  • 対火服装備班(OBAと呼ばれる対火服装備班による消火)
  • けが人の介護(衛生員以外も対応します)

たったの4つしかないの?と思われるかもしれませんが、それぞれに役割が細かく決まっています。例えば初期消火について。

例えば寝室の電灯がショートし火災が発生したとします。

この時点で発見者が艦内の伝令設備を使用しながら艦内に「火災が発生した」ことを伝えます(全力で走りながら)。連呼員なんて呼ばれます

報告だけなら楽そうと思いますが色々決まりがあり、火災が発生した場所の詳細、火災の種類(可燃物が燃えているのか、電子部品からの発火なのか等)、火災の規模などを明確に発声しながら指揮所まで駆けていきます。

他にもありったけの消火器を集めて使用する役割や初期消火時点での放水要員、その補佐、初期消火時の現場指揮をとるもの、重要物件の搬出など役割があります。

初期消火員は対火服装備班が来るまでのつなぎといったところでしょうか。

対火服装備班は普段から対火服の装着の訓練をします。慣れないとそもそもまともに着用できない物なのですが、慣れれば1分30秒くらいで着られるようになります。

この班は、消火以外にもガス検知機などで有毒ガスの有無を調べたりもします。消火作業のエキスパートといったところですが、多くは三曹が班長で海士が班員と若い人たちで構成されています。



けが人の介護

当然けが人が出る場合を想定し、訓練することもあります。むしろ経験上けが人のでない訓練はなかったですね。

怪我の応急処置もしますが、救急救命士さんとかがするトリアージの判断もします。結構難しいんですよね、新入隊員なんかは暇さえあればこの訓練ばっかりしてます。

一回覚えればだいたい何とかなるんですけどね。

指揮所については配置されたことがないので割愛します。



火災以外の緊急時の訓練

火災対応以外にもたくさん訓練はあります。当然ですが戦闘時の訓練や濃霧の中の航行、艦船が沈没するときの総員離艦などで、基本7部署といいます。

この7部署以外にもたくさんありますが、この基本7部署には審査があります。

この審査は優良であれば表彰されるのですが、不良であれば全部隊に対して通知され吊るし上げられます。そのため、代休処理日がつぶれて部署訓練をするはめになったりします。

といいますか、自分の身を守るためでもあるので部署訓練はしっかり習得しておくべきです。

海士のうちはこの部署訓練と舷門という当直勤務さえできればまず文句はいわれません。

自分ができないと後輩にも指導できませんしね。

職種で役割がかなり変わってくる訓練もあるので、自分がどの訓練ではどの配置で、なにをすればいいのかは最低限身に付けておかなければいけません。

私は、通信員だったのでトランシーバーをいくつも持って艦内を駆けずり回ってました(笑)

まとめ

火災対応をメインに海上自衛隊の訓練を紹介しましたが、このほかにもたくさんあります。

艦艇のみの訓練もあれば陸上部隊のみの訓練もありますし、自分の職種には関係ない訓練もたくさんあります。

しかし、すべての訓練には実施標準と呼ばれるマニュアルがあるので、時間があるときはしっかり勉強して、本番で困ることが無いようにすることが重要です。

前述の消火器を集める役割を任されれば、消火器の位置を確認するなど簡単なことですが前もって準備しておくと本番慌てることもないので訓練なんて楽勝!と思えます。

訓練ばっかりしているので訓練なんて楽勝!になってしまえば安定した公務員生活なのでなにも困ることはありません。

特に艦艇に勤務していると給料が多いです。かなり多いです。年2回のボーナスも確定でもらえます。

しかも試験は簡単で、誰でも入れるのではと錯覚するほどです。

ただし、怠けていると一瞬で立場がなくなるつらい職場であるので人間関係と職務に対しては誠実に付き合っていきたい仕事です。

ライター:元海上自衛隊通信員

 - 海上自衛隊




kotirade

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