元自にーさん(元自衛官)の自衛隊ブログ

新隊員、自衛隊や自衛官に興味がある人に自衛隊について色々と学んでもらえるようなブログを目指しています。

*

災害派遣のお供!自衛隊戦闘糧食の美味しい話

      2016/12/12

type2

画像 http://www.mod.go.jp/gsdf/neae/neahq/pastevent/20milimesy5.htm

戦闘糧食……こと自衛隊において最も重要になる物資と言っても過言ではない、糧秣の名称……解りやすく言えばレーションです。

レーションと言う名前が有名になった背景には「メタルギアソリッドシリーズ」の影響もあるせいかもしれませんが、一応自衛隊でも戦闘糧食をレーションと呼ぶ人もいます。

でもここは日本。自衛隊の呼び方こと正式名称で説明させていただきます。

戦闘糧食には現在二種類が存在しています。

まず自衛隊の事を触り程度で知っている人にも同じみな缶詰型の戦闘糧食……これをI型と言います。



自衛隊で使用されている有名な通称カンメシ。

北野武が主演した映画「バトルロワイヤル」のワンシーンにも登場している程に有名な糧食。

このカンメシには深い歴史があります。

まず自衛隊が警察予備隊から自衛隊として創設された1954年に採用された缶詰型の糧食です。

現在の戦闘糧食はⅡ型のレトルトパウチ方式の包装型の戦闘糧食が主力になりつつありますが、今現在の2015年でも保存性と耐久性で生産され続け、糧食の首位を不動のものとしています。

またこの糧食……陸上自衛隊だけではなく、海上さんや空自さんでも利用され、陸海空の三自衛隊の必須糧食として現役で活躍中でもあります。

メニューは主として、日本人ならやはり必須なご飯缶が挙げられます。

およそ二合分の御飯が収められている缶詰で、自衛隊におけるカンメシの代名詞も、これが主なのでそう呼ばれております。

それに日本人と言えば……やはりお米です!

PKO派遣の際にも御米は必需品ともいえるほどに、御米は重要な糧食なのです。

でも御飯だけではやはり物足りないものです。やはりどんな場所でも、おかずは必要になります。

その代表を挙げたら……たくあんなどが挙げられます。

(注意・たくあんのカンメシは好き嫌いが多いのですが、筆者は好きです)

無論、たくあんだけではなく、様々なおかずも多種多様に存在しています。

ご飯缶だけでも炊き込みご飯に五目御飯や豆ごはんに鳥飯などがあり……赤飯もかつてはありましたが、最近では赤飯はもう生産から外されたとのことです。

この背景には自衛隊の災害派遣増加が増え、災害時のカンメシの需要が高まった中で、被災者への配膳糧食の中に赤飯が入っているのはあまりにも不適切となり、災害派遣に配慮されなくなりました。

でも赤飯にカンメシは米食の中で一番の腹持ちのする糧食として知られています。

何故腹持ちするのか……それはもち米を使用しているからです。

それにもち米はまた、栄養値が高く、不足がちな災害生活などにはもってこいの食材なのですが、世間的な価値感の見方などもあり、2011年東北地方太平洋沖地震を最後に、自衛隊から赤飯の調達は中止となりました。

また缶に入れている食材を食す際や配膳する際など、当然カンメシは冷えた状態です。

冷えていたら米が硬くなっています。

固い御飯では栄養値は低く、消化吸収できないなど、栄養面で問題がある為、配膳時には必ず湯煎して配膳します。

一度湯煎すれば夏場は3日間は持ち、冬期間は6日程持ちます。

御飯もさる事ながらおかずも栄養比率で言えば比較的に塩分を多めにされています。

これは少ないおかずでご飯を大量に食せる為になっていますが、これはあくまでも作戦任務でカロリーを消費しやすくなっている隊員の為の、カロリー摂取の為に多めに設定されています。

また戦闘糧食I型には、昔ながらの乾パンと金平糖などもセットで備わっています。乾パンは昔とは違い、ビニールの透明の袋に大きな黒字で「乾パン」と記されています。

戦前より乾パンは糧食の中でも一番長い付き合いの保存食でもあり、簡単に食べられる甘味として金平糖も、昔からある手ごろな戦闘糧食です。

さてこれらの糧食の気になる予算ですが、これら糧食は非常用糧食として購入されています。

そのお値段は……軽く億を越えるみたいです。

またカンメシの賞味期限はおよそ3年間。

製造業者から納入されてからの1年間の間に各方面隊補給処へ輸送され、2年目は駐屯地業務隊補給科糧食班倉庫に搬送され、駐屯地の災害用もしくは緊急時の備蓄糧食として保管されます。

ただこの糧食……最近では色々と自衛隊関係のイベントで配られていますが、基本は官給品なので部隊外への持ち出しや、自宅への持ち帰りなど、ネット販売や、転売などは基本禁止されています。

でも最近では気軽に一般に配給されているみたいで、陸上自衛隊朝霞駐屯地内陸上自衛隊広報センター「りっくんランド」の売店コーナーでも、お手軽な値段で購入ができるみたいです。

一応、軍用食品なので通常の缶詰とは違い、缶全体が光に反射しにくい暗緑色……いわゆるオリーブドラブで塗装されています。

またカンメシの種類が判別できやすい様に側面に黒字で大きく記載されています。

さて、カンメシともなれば必要な物……それは缶切りです。

缶切りがなければカンメシは食べる事が出来ません……また缶切りを使った際の気づかいもこのカンメシには施されています。

まあ常に個別に缶切りを携行する手間を無くすために、小さな缶切りが缶の縁または缶の段ボールの箱にビニールに包まれて付属し、ウインナー缶などには必ず付属品として缶切りが付いており、時折カンメシにも缶切りが装着されているタイプもあります。

また付属されている缶切りには「10円玉で外して下さい」とご丁寧に刻印されています。

そんなサービス精神旺盛な缶切り。

ではなんで全部のカンメシにその缶切りを着けないのか……それはお金がかかるからです。

カンキリだけで全部のカンメシに付属するとするなら、相当なお金がかかると統計が出ており、配膳される場合は缶切りが付いたカンメシとついていないオカズ缶などを合わせて渡します。

またこのカンメシ、先程述べた内容に暗緑色ことオリーブドラブで塗装されております。

野外で目立たないようにと、偽装時にも食事がとれるようにと塗装されていますが、全体がそんな色で染まっていたら、開封時に塗料が食品に混じってしまうと思われますが、そうなっては食べにくくなるために、缶上部は無塗装となっています。



カンメシの歴史

また1990年代までは無塗装のまま支給されていた経緯もあります。

なんで途中からわざわざ塗装されていったのか……それは日本ならいざ知らず、海外では不都合が生じるからです。

1990年代ごろには自衛隊の海外派遣などが始まり始めた頃でもあります。

世に言うカンボジアのPKO派遣の際、塗装していないと光で簡単に反射してしまうので、ゲリラに備蓄数が知られてしまい、また糧食の場所がばれてしまう等の理由で、それ以降のカンメシは塗装されていったとの経緯があります。

でも現在。

全てが塗装されているわけでもなく、ごく一部の貯蔵用のカンメシに無塗装のものもあります。

何故、いまだに無塗装なカンメシがあるのか……それは近年の災害派遣を考慮しての対処でした。

災害救助派遣の重要性が再々度見直され、災害時に緊急対応できるようにと、カンメシの備蓄が重要視され、緊急時の貯蓄の為にと塗装されていないカンメシが用意されるようになりました……が、他にも理由があったりします。

それは……暗緑色ことオリーブドラブで塗装されているのが戦争のイメージがあると、そう言った意見のせいか、塗装されていないカンメシが作られるようになったらしいです。

またこれらの缶は大きさにも片づけの工夫がなされ、一番大きなカンメシの空き缶に小さなオカズ缶の空き缶を重ね廃棄できる、そう言ったゴミの減量化も考慮されています。

この様に説明すれば色々との試行錯誤がなされているカンメシですが、何で今時缶切りが必要なカンメシのままなのかと疑問を持たれる方もいますが、一般に世間に出回っている非常に開けやすい缶詰ことプルトップタイプの缶詰は、確かに簡単に開けやすいですが、カンメシはあくまでも緊急時の軍用食です。

耐久性や保存性などの密閉性を向上させ、または航空機による地上へと補給投下する際の衝撃に耐えられる為など、耐久性がいまいち弱いプルトップタイプの採用は見送られていますが、最近では災害時に開けやすさを考慮する傾向も強い為、プルトップタイプのカンメシも出回り始めているともことです。

また食べたら廃棄しなければいけませんが、自衛隊内の規則としては、食べ終わったカンメシは原則として潰してから埋める事になっていますが、最近ではそれも駄目になりつつあります。

それは何故か……環境破壊になるからとのことです。

食べたら持ち帰りが基本と、まあ埋める頃からカンメシの廃棄に気を使っていたのは、食べ終わった空き缶の数で部隊規模が推測されてしまうからとありましたが、最近は環境に考慮した廃棄方法がとられるようになりました。

でもこの処理方法はあくまでも有事の際のみで、実際の演習場や災害派遣時には各部隊で空缶をゴミ袋で回収し廃棄します。

また最近の自衛隊では部隊に配分された缶飯の多くが食されず、一定保管期間の過ぎてしまった糧食は廃棄処分になっています。

これには最近の食糧事情の変化もあり、演習前に自前で用意する隊員や、演習終了後にサービスエリアでの食事調達が簡単になったため、カンメシを食べない自衛官も増え始めているのが背景にあります。

でも災害時にはやはりカンメシは必世不可欠なモノ。

現に阪神淡路大震災際、緊急食料として急きょカンメシが供給されました。

食料流通が停止し、ライフラインの途絶が決定的になったあの大震災以降に、災害時における糧食開発が進んでいき、やがてカンメシから戦闘糧食II型こと、自衛隊で使用されている新しいレーションが登場します。

通称パックメシと呼ばれている糧食。

これは1990年に自衛隊で正式採用された比較的新型の戦闘糧食であります。

この糧食は戦闘糧食 I型の缶詰からI変更され、Ⅱ型のレトルトパウチ包装が採用されました。

レトルトパウチ包装とは……解りやすく言えばボンカレーやレンジでチンするレトルト食品をイメージしてもらったら解りやすいと思います。

袋型になり、カンメシに比べて持ち運びと調理が改善された糧食。

I型を食べられるように調理するには最低でも20から30分の時間を必要としましたが、レトルトパウチ包装になったおかげで、手間のかかった湯煎時間がなんと10分で食事が可能となりました。

……でもレトルトパウチはビニール袋。

カンメシの金属缶に比べて強度は無く、保存期間も比較的に短くなっています。

それゆえか、いまだに糧食の主役の座はカンメシであり、その地位は不動です。

また保存方法と内容物がカンメシとことなりますが、調理方法は戦闘糧食I型と同様、湯煎から部隊員に配給され、カンメシに比べては、そのメニューの数も増え、中華丼からチキンにステーキもあれば、肉団子や焼き魚と鮭、そしてカレーなどもあります。

カンメシとは違いフリーズドライ方式を採用しており、保存が難しいスープ類や味噌汁もレーション化に成功しています。

それにこのレーションはPKO派遣時にUNTAC参加国の戦闘糧食コンテストで堂々の1位に輝く程に、日本のレーションは美味しいと評価されています。

それまで一番おいしいレーションはイタリア製のレーションが有名でしたが、それを抜いて堂々の一位となった糧食でもあります。

そんな世界一に美味しい糧食Ⅱ型のパック外装は戦闘糧食I型と同様のオリーブドラブ色で、この糧食も目立たない仕様になっています。

オリーブドラブ色の表面に黒い文字で内容物が記載されていますが、白飯は他の飯類(鳥飯やピラフ)などを区別するため、ご飯パックの端が透明になっており、現在では米飯パック2個と副食類を一つの真空包装パックに入れてあり、内にプラスティックのフォークスプーンも封入されています。

また携帯加熱剤……平たく言えば水で熱くなるカイロみたいなもの……があり、加熱して食事する事も可能となっていますが、それが一番役に立つだろう汁物類は、残念ながら2009年の改良型からフリーズドライによる汁物は全て廃止となり、汁物を温める夢は無くなりました……

さてなぜ廃止になったのか……それは世に有名な0-157事件があったからです。

世を騒がしたあの事件以降、糧食の安全のさらなる追求が始まり、米飯はレトルト米飯パックからトレー入りの無菌包装米飯に変更され、オカズ類も保存しやすく長持ちしやすい食材が選ばれるようになり、改良後は従来品よりも種類も豊富となり、ハヤシライスにハンバーグから野菜麻婆の中華系の糧食も開発され、なんと肉じゃがやサンマや鮭などの糧食が登場しました。

さて、そんなパック飯の一食あたりの摂取カロリーは1100キロカロリーぐらいあり、一触分だけでも実に総合すれば平均3000カロリーから4000カロリーと結構な栄養価の高いものでもあります。

その為……非常に太りやすいと

 - 災害派遣




kotirade

  関連記事

災害時の心強い味方!3トン半水タンク車

さて前回に炊事車についてお話をしました。 自衛隊は災害派遣に行くとこのような食事 …

御巣鷹山に災害派遣出動した陸曹長の話

1985年8月12日に発生した日航航空123便墜落事故は元自にーさんが生まれる前 …

災害派遣体験|洪水で沈んだ街

私が初めて自衛隊員として災害派遣に従事した、洪水の災害派遣の体験談。 そろそろ洪 …

自衛官になって初めての災害派遣|背嚢準備編

自衛隊において……しこせきだん、と言う言葉があります。 これは自衛官の心構えを覚 …

地震について

熊本で地震が起きました。 被災した方、辛いでしょうが頑張りましょう。 自衛隊派遣 …

災害派遣(地震、火災、台風、火山):元幹部自衛官に解説してもらいました。

自衛隊が出動する災害派遣にはさまざまな種類があります。 地震、火災、台風、火山。 …

陸上自衛隊『ヘリパイ』が見た東日本大震災

私が仙台にいた時「宮城沖地震」が発生し、昼食時で茶碗を持ったまま外に飛び出したこ …

自衛隊は災害派遣に行くとこのような食事をしています。

前回の記事はこちら →自衛官になって初めての災害派遣|背嚢準備編 さて以前は災害 …