元自にーさん(元自衛官)の自衛隊ブログ

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災害時の心強い味方!3トン半水タンク車

      2016/12/12

さて前回に炊事車についてお話をしました。

自衛隊は災害派遣に行くとこのような食事をしています。

今回は災害時のもう一つの主役こと3トン半水タンク車こと給水車を紹介したいと思います。

ではまずに、この給水車陸上自衛隊の装備のひとつで、主として給水車として野戦や災害派遣などで活躍する車両です。

3トン半水タンク車

そのままな車両です。
戦闘用の装備も無く、これと言ったスペックもないように思えますが、これはこれでこの給水車は意外にすごいのです。

まずまず、この73式大型トラックをベースにして開発され、普通のトラックとは違い車輪は6となっています。

これは何故かと申しますと……水とは結構重いのです。

開発時。

一応もっと小型な四輪で造ってみたらと、高機動車か軽トラみたいな給水車の計画もありましたが、あっという間にパンクしてしまい、走行できないとの結論がでたみたく、すぐに開発計画が頓挫してしまい、仕方なしに大型のトラックをモデルに開発が進み、現在のこのような形になっていきました。

また沢山の人間に給水するか、水を大量に給水できるようにと、その需要は大きさに傾いていき、5トン型の構想もありましたが、大きくし過ぎるとその運用方法が難しくなると結論が出てしまい、結果として3トンで落ち着いたとの経緯があります。

でもこの給水車……見た目はどこかタンクローリーかバキュームカーに似ています。

その原因になっている円筒形タンクを荷台に搭載しているが原因かもしれません。
ある意地悪な隊員はバキュームカーとしても使えると、うそぶく事もありますが、この給水車でそんな作業は絶対にしません。



あくまで給水をする為の車両。

よく災害時に悪い噂を流す人が、何も知らない被災者さんに、

「この給水車は自衛隊でバキュームカーとして使われています!」

と、大きな声で被災者さん達に叫んでいた光景を見たことがあります。

災害の惨事に何をしているのかと思われますが、実際にこうしている、いけずな人もいます。
とりあえず、その困ったさんを脇に置いて閑話休題にして、本題へと戻りましょう。

またこの車両には転倒防止枠は付いていません。
普通ならついているのではと思われますが、この車両の特性上仕方ない事でもありました。

水を運ぶ事に特化した車両。

その為、削れる部分の除去と軽量化が進み、結果として水を運ぶ際には重くなるのだからと、転倒防止枠は除去されましたが、水が無くなってしまえば軽くなってしまいます。

その時はどうするのかと……言いますと、その時は事故を起こさない様に、速度を落として走行すればいいと、まあ書いていて思いますが、なんとも身もふたもない事ですね。

転倒してしまったら即アウトな車両でもあります。

そんな給水車のスペックはこの様になっています。

まずは全長は6810mmとなり、全高は2890mmと、結構な大きさです。

その全幅は2485mmとなり、車両重量は水を入れていない状態の重さは9100kgとなります。

最大積載量こと水を給水できる量は実に5000Lは可能で、時速は最高速度で97kmほど出ます。

さて、このようなスペックではありますが、よくこの車両が無駄だと言う、とある政治家議員さんがいます。

災害時に水を運ぶよりも、もっと別の物を運んだら良いのではとの意見もありました。

でも水とは一番日常生活で消費するものであり、生命維持と生存には絶対に欠かす事の出来ない基本的な重要物資であります。



普段忘れがちになっていますが、水とは一番大切なモノなのです。

現代は上水道の普及率の高さや各種水源上水所の施設や、各家庭には必ず水道は供給されていますが、ひとたび災害が起きてしまえばそれら水道は使えなくなってしまいます。

そもそも水道供給は、水を通すパイプの破損など、地震は勿論水害や日照りなどのトラブルなどにより、水道供給は簡単に滞ってしまいます。

また今の世の中ではどこに行っても水が当たり前となっており、災害時のパニック誘発の原因ともなっています。

これを可及的速やかに補助または補給を行う為の車両が給水車の存在意義となっています。

よく水がなければコンビニで買えば言いと、どこか世間知らずな意見もありますが、災害時にコンビニで買うにも限界はあり、また都市のライフラインが破損している時には、コンビニは役には立ちません。

また水害などで水源はあっという間に汚水が流入され汚染されてしまいます。

洪水などでよく水は必要ないだろうと言う人がいますが、洪水時に災害地で水道水を飲むのは明らかに危険です。
飲んでしまえば汚染されている危険性もあり、伝染病に感染する可能性もあります。

このように災害時には水道水は飲料水としても生活用水で使用できなくなってしまいます。

いつも使える筈の水源が利用できなくなった場合……その生活を守るために利用されるのが、この給水車なのです。

給水車は災害時、被災者さん達に安全な飲み水を提供する事が目的となっています。

飲料水用として衛生的に使用できるように配慮のなされた給水車。

タンクは飲料水を衛生的に保管する為に、水の衛生管理に配慮されており、ステンレス製タンクでもあります。

何故ステンレス製なのか……水を運ぶ車両は主に錆などの問題に考慮しなければいけません。

基本的に水を常時蓄えるタンクである事から、必要時においていつでも水を安全に水を提供できるために、錆びない、そして安全に水を補完できるステンレスを使用し、また必要に応じて、誰でも気軽に使いやすい様に、水を出す蛇口が備え付けられ、送水圧を一定にするために圧力を加える事の出来るポンプも備えられています。

またポンプを作動させるための動力として自前で電源なども備えおります。

日本ではこの様な車両は、



『特種用途自動車』

に分類されており、自衛隊は勿論、最近では広域な災害対策の念頭から消防や警察(機動隊)にも装備され始めています。

給水目的の自動車としての機能に、安全に水を蓄える事の出来るタンク。

給水するための機能としてのタンク本体にもポンプと蛇口は備えてはいますが、ひねった途端に滝のように水が噴出する諸問題がありました。

被災者さん達などが利用する容器に水を分配する用途に対応する為に、送水圧を一定にするための機構を備え直し、また給水車に水を注入する際に、タンク上部から一気に注入するように出来る設計になっており、タンクの上部注入口が設けられ、タンクには梯子とステップも備えられています。

また災害時の際の給水に際しては、一般の人が使いやすい様に、被災者さん達がすぐに使えるようにと、扱いやすい蛇口が設けられていますが、この蛇口にも気を使っており、移動時には金属ケースで覆い、蓋が閉められています。

また簡易水道や貯水槽に、直接接続する事も考慮して大型バルブを備えています。

──と、このように書けば、まさに給水用の為の車両です。

有名な雑学も話せば自衛隊イラク派遣のサマーワキャンプでは、地域住民に受け入れやすくと、キャプテン翼のイラストが入った給水車が走っていたとの記録もあります。

キャプテン翼は外国でも人気がありますからね。

そんな災害時には強い存在こと給水車。

筆者の思い出でも沢山かかわった記憶がある車両の一つでもあります。

ただその中で変なエピソードがあるので、お話ししましょう……

……災害時、とある人が、いきりながら話しかけてきました。

その人は、

「この中の水はミネラルウオーターなのか?」

と、訊ねてきました。

一応誤解の無い様に言いますが……給水車もとい災害時に用意される水は、ミネラルウオーターではありません。

あくまでごく一般的な水道水です。

それを説明したら、その人は烈火の如くに怒りました。

その人いわく……

「自衛隊は納税者に水道水を飲ませるのか?」

と、怒鳴っていました。

……この際に説明しますと、日本の水道水は世界で一番安全と言われており、外国の旅行者も、泊まっているホテルで出る水がそのまま飲める水だと驚くほどに、日本の水道除染技術は優れており、水道水でも安全に飲めます。

また災害時にミネラルウオーターを5000リットルも用意した方が、よっぽどの税金の無駄だと思います。

その人は水道水を飲まされたと騒ぎましたが、他の被災者の人がその人を宥めてくれたおかげで事なきは終えましたが……ふと思いました。

いつしか水道水ではなく、給水時にはミネラルウオーターが使用される事が当たり前になってしまうのかなと、そんな事を考えてしまいました。

安全な水が飲めて、食べ物もコンビニに行けば買いに行けることが当たり前なこのご時世。

一瞬すればあっさりと壊れてしまう環境ではありますが、いざという時は水道水でもとの意識も大切なのかと、考えてしまいます。

筆者も水道水ではなく、ミネラルウオーターを飲む手前、水のあり方がどうなっていくのかを考える時がありますが、やはりそこは日本で良かったと考える時があります。

安全な水。

生きている内は常に傍で流れ続けてほしいものですね。

 - 災害派遣






Comment

  1. ジョン より:

    はじめまして、ブログ拝見しました。

    バルブ(蛇口は)給水車にいくつ付いているのですか?

  2. ygdi より:

    ミネラルウォーターがいるなら、平積みトラックで運ぶべきだし、この車でやる必要は無いですね。
    災害時だと必要は無いですが、ミネラルウォーターは、やり過ぎかもしれないけど、浄水器はそのうち要求されるかも?

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