元自にーさん(元自衛官)の自衛隊ブログ

新隊員、自衛隊や自衛官に興味がある人に自衛隊について色々と学んでもらえるようなブログを目指しています。

*

84mm無反動砲と01式軽対戦車誘導弾の違い|値段高すぎー

   

普通科火力(01式軽対戦車誘導弾)
さて以前、自衛隊における対戦車兵器の代表でもある84mm無反動砲の内容を書かせいていただきましたので、今回は自衛隊において代表的な新型の主力兵器となった01式軽対戦車誘導弾対戦車兵器を説明させていただきます。

でもその前に。

記事を上げる前に、すこし対戦車兵器の歴史について詳しい説明を書かせていただきます。

まず、自衛隊において対戦車兵器を一般的な軍事標語表現であるAnti Tank Missile(対戦車ミサイル)」こと、略称にすれば「ATM」になりますが、何故か日本の自衛隊では「MAT」となっております。

何故この様な表現を取り入れているのか?

それは日本のお国柄と歴史観の問題などあり、「ATM」の表記がアトムと読めてしまうところに問題がありました。

アトムとはあの国民的かつ代表的な漫画の神様たる御大の傑作代表漫画作品の名前ではなく、ただ単に原子と言う意味があります。

そんなイメージが強くあり、「ATM」が原子のミサイルこと核兵器と誤解を受けてしまうとの諸問題が発生しました。

この国の歴史においてその表現はあまりにも重要視される問題であり、止む終えず通称を変えようと試行錯誤となりました。

最初は「対戦弾」などの漢字表記案や「ATM」のTを抜いて、「AM」とするのかと、色々な論議が交わされていたみたいです。

無論、それらも噂であり、本当にそんな論議があったのかとは確証がありませんが、名称に頭を悩ませた歴史と経緯があります。

そんな論議の中、ようやくに決まったのが「ATM」の語順を変えて「MAT」とすると、シンプルなネーミングに決定したといういきさつがあったみたいです。

さて、真偽はさておきまして、そんな上記の名前の由来となっておりますこの誘導弾。
かつては64式対戦車誘導弾から遡り、87式対戦車誘導弾までは、対戦車誘導弾は自衛隊員の中では「MAT」と呼ばれていました。

そして新型となった01式軽対戦車誘導弾の頃には、「LMAT」などに改められました。
Lはより遠くに飛ぶとのLongから頭文字を取り、より遠くに飛ぶ「MAT」を改めて、「LMAT」となったみたいです。

現場では「ラット」や頭文字の数字を取って「01」マルヒトや、今までの「MAT」のあまりな重さが嘘になってしまったかのような重さが軽減された為、「軽MAT」などと呼ばれております。



01式軽対戦車誘導弾(01ATM)のお値段

さて、この01式軽対戦車誘導弾、お値段は何と2600万円です。

それに対して84mm無反動砲のお値段は1000万円!

比較すればけっこうお高い値段になっております。

最初はこの01式軽対戦車誘導弾は、84mm無反動砲にとって代わって、陸上自衛隊内の全小銃小隊に再装備、配備される計画がありました。

でも先に記したとおりに2600万円のあまりにもお値段が高い事と、一発撃ってしまえばそれまでの使い捨てなど、お財布事情にうるさいお国がらの様々な要因が重なり、現在では何回でも使用可能な84mm無反動砲と並行しながら、小銃小隊で使われる事となり、今は同時使用の同時携行で落ち着いております。

ただ、この01式軽対戦車誘導弾。

私がいたかつての部隊の隊員達からは、あまりにも不評でした。

何故ならこの兵器、個人で持たなければいけないのです。

重さ実に35キログラム。様々な装備を含めたら実に50キログラムになります。

こんな重いものを背負い、行軍や演習などしなければいけないので、62式機関銃の次に、射手になりたくないとの不人気ぶりでした。

とにもかくも、この兵器は重いのです。

ましてこれを使う時に副射手と「どちらが発射機か発射筒を持つか」の取り合いになる程に、携行するのがあまりにも憂鬱になってしまう程に、不人気でした。

よく演習の画像や動画では軽装甲機動車の上部ハッチから撃ち込んでいる映像などがありますが、実際は歩兵が背中に携行し、射手と副射手の二人が持ち運んで、茂みの中や壕の中から敵戦車に向かって撃つのが大抵です。

またこの発射機。

非常にデリケートで、扱いに気を付けなければいけないと、持つ方にも色々な気苦労があります。

何分精密機械で造られた発射機。

日本電気製の夜間照準具の技術力から生産されており、精密機械の絞められた発射機の総重量は17.5kgと結構な重さではありますが、発射筒に比べたらまだ軽い方で、持つならこっちがいいと、01式軽対戦車誘導弾の装備隊員は割と本気で取り合いをするほどに、発射機は人気者です。

でもこの発射機を持てば、絶対に落としてはいけないや、汚してはいけない、また壊してはいけないと、様々な不安を胸に、装備しなければいけません。

もし壊してしまえば、大事になってしまう為、胃潰瘍などのストレスの種でもありました。

無論、発射筒も同じですが。

とにもかくにも、この発射機、実に技術大国日本の機械技術がふんだんに使われており、なんと非冷却型赤外線画像センサーを装備した、世界初の対戦車ミサイルなのです。

でも対戦車兵器なのに意外にデリケートな扱いに苦慮した記憶があります。

特に私の記憶の中にあるこの01式軽対戦車誘導弾イメージは、やはり高額兵器でしょうか。

光学ではなく、高額です、この兵器を作るのに、なんと約100億円ほどの税金が掛かったとの噂もあります。

公式では105億ですが、実際はそれ以上に掛かったとの噂もありました。

そんなお高いこの兵器は、当時中隊に一個しか配備されませんでした。

練習も中隊の班ごとに交代しながら使用し、保管庫から取り出す時も、野外ではなく室内限定での取り扱いとなっておりました。

体育館や武道場などあまり埃のたたないところでの演練をした記憶があります。

取り出す時も、気を使いながら隊員が気を張り、どこかピリピリしながら、発射機に発射筒などをボックスから取り出していた記憶が先に思い出されます。

床に置くときも、ビニールシートを必ずに引き、その上にそっと卸し、半長靴を脱いで、発射演習の演練をした思い出があります。

そして、その演練を行う前に、体育館と武道場の掃除を徹底して行った記憶もあります。

対戦車兵器にこれほどまで気を使い、大切に取り扱った記憶は、この兵器以外にはありません。

それほどまでに大切に扱われた兵器ですが、私はこの実弾の演習に参加することはありませんでした。

なにせこの兵器、あまりにも高額なため、実弾の訓練がまるで出来ないとの問題もあります。

出来ても1年に一回あれば良い程。

その為、常に訓練弾の発射演習で行いますが、その訓練弾も他の訓練弾よりも高額なため、大抵はイメージトレーニングで行うのが現実です。

そんな01式軽対戦車誘導弾。

実弾を撃てるのが陸尉からであり、私の最終階級だった陸士長ではただひたすらに訓練弾の練習しかなく、実際に発射するときの反動は、あくまでも聴いた話でしかありませんが、弾頭発射時の反動は意外に少なく、それこそ84mm無反動砲と大して変わらなかったと聴きます。

そんな背景もあってか、最初は次世代の対戦車兵器となり、84mm無反動砲にとって代わる筈でしたが、今でも84mm無反動砲はその対戦車兵器の主力にあり、01式軽対戦車誘導弾はいまだに主力にはあらず、最後の切り札として使われる背景があります。

あまりにも高価すぎる兵器こと01式軽対戦車誘導弾。

安価で弾頭を様々に装填し、歩兵で使い回しでき、訓練も容易な、長く使い慣れた84mm無反動砲とは違い、その使用には気を使ってしまいます。

また発射機の電子機器の操作手順や緊急時の対応方法などを完全に熟知し得なければいけない、大変困難な教育課程を終え、確実に命中できるまでの訓練実績と演練の結果などが求められなければ、使用は許されないそんな難易であり高価な兵器。

それが次世代型の兵器として自衛隊の主力になるのには、まだまだ先は長そうです。

でもその主力になる頃には、また別の新兵器が誕生している可能性もあり、主力への道は遠い、そんな兵器を大量に使わなければいけない、そんな事案が訪れない事を祈りたいです。

2元自にーさんから

私が在職中にかなり大きな射撃野営に参加しました。

そのとき言葉に「今日だけで4億円らしいよ」というものがありました。

そのとき「どひゃー」と思いましたが、なるほど高い武器だったんですね!

 - 部隊の自衛官へ






Comment

  1. めしし より:

    01式が使い捨てというのは、正確ではありません。
    もちろん誘導弾は使い捨てですが、発射器は再使用可能です。
    記事内の2,600万円はシステム全体の価格であり、使い捨ての誘導弾は500万円程度です。

    84無反動は1,000万円で再使用可能と書いているにもかかわらず、01は上記の書き方なのはいかがなものでしょうか?

    見たところソースはウィキペディアのようですし、
    もっと勉強なさった方が良いのではないですか。

    特に新入隊員や入隊希望者向けに書かれているそうなので、
    明らかに間違ったことを書くことがないようにしてください。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

自衛官の心構え「個人の充実」|偏りのない自衛官に俺はなる

 個 人 の 充 実 (1) 積極的でかたよりのない立派な社会人としての性格の形 …

自衛官は雨の日でも傘をさしてはならない

ライジングサンの中で出てくる言葉に 「自衛官は雨でも傘をささないのですよ」 とい …

駐屯地でも通販生活をする方法を教えます!

自衛隊は教育期間中はもちろん一般部隊に配属されても外出に制限がかかります。 そん …

二年目陸士が受ける新隊員が入る直前の反省

9月も半ばになれば続々と新配置隊員が部隊配属されてきます。 今まで一番下っ端とし …

新隊員にとって自衛隊の宴会とは?

教育隊の間は同期や班での宴会はあってもそれほど多くはありません。 大きな節目にや …

組織のルール|命令系統を理解しよう

自衛隊に限っての話ではないけど、特に自衛隊には命令系統という組織のルールがありま …

自衛隊には喫煙者が異常に多い、禁煙しよう

肉体を駆使して困難な任務をこなす自衛官は身体に悪いタバコ愛用者の率が多いように感 …

外出禁止ランキング1位は自衛官がお金を借りること

営内で生活する自衛官にとって最も恐ろしいのは外出禁止です。 一般人には「駐屯地内 …

自衛官の職業病「水虫との闘い」

自衛官は基本的には半長靴を履いています。 迷彩服を着る時はセットで半長靴になりま …

自衛隊の人間関係について 怒りを堪えよう!

自衛隊へと無事に入隊を果たし、物品受領などを終え、入隊式を済ませれば、同期達と一 …