元自にーさん(元自衛官)の自衛隊ブログ

新隊員、自衛隊や自衛官に興味がある人に自衛隊について色々と学んでもらえるようなブログを目指しています。

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自衛官を5年勤めた対戦車小隊砲手が自衛官に伝えたい大切なこと

      2015/11/08

私はこの「元自にーさんの自衛隊ブログ」とツイッターにて様々な自衛隊情報を公開しています。

そうしているうちに、なにやらファンのような人も少なからず現れてきました。

今回は私のブログに寄せられた元自衛官の方が記事を書いてくれました。

実際の自衛官と一般の方が想像しているだろう(特に自衛隊、自衛官が好きな人)自衛官像のギャップがよくわかる記事で、このブログでぜひ紹介したいと思わせてくれるものです。

私とは違った部隊(対戦車小隊の元自衛官です)で勤務していたということもあり、私も馴染みが無いこと話ですごく引き込まれました。
以下寄せられた記事です。

まず最初に、一生涯の職業として自衛隊に入隊する覚悟のある人に、私が今書く事を嘘偽りなく、また教訓を持って職務にあたれることを祈り書かせていただきます。

私は7年前までは自衛官として5年務めた過去があります。

今は任期満了に伴い、本業の傍らにライター業を行っている一般人でもあります。

そんな私が今からここに書かせていただくことは、自衛隊に入隊し、自衛官として過ごした経験を誰かの為にと思い綴らせてもらう文章です。
沢山の語りたいことがありますが、まず自衛官として一番大切な事柄は何か、そして常に気を付けなくてはいけない事は何かを、私の経験した過去の体験談からお話したいと思います。

これが誰かの為に役に立てれば幸いです。

では、お話ししましょう。

私はどこの所属だったのかは詳しくは言えませんが、語れる部分だけで語らせていただきます。
まず、階級は陸士長。

所属する部隊は2中隊。

対戦車小隊対戦車班の84ミリ無反動砲の砲手をしていました。

上の部分ではカッコイイと、すごいと、よく言われますが、実際自衛隊でしていた仕事は、主として雑務でした。

雑務および事務方の担当。

それの方が解りやすいかもしれません。

なんで雑務および事務方なのか?

自衛隊とは前期、後期の新隊員の教育課程が終わってから中隊配属されます。そしてその後はその隊員の適性のある小隊に配備され、除隊もしくは転属の間までは、その小隊に固定されます。

その小隊内で仕事をする中でも、幾つかの役割が振り分けられます。

体力的に能力の豊かな人は演習や検閲の為の要因として鍛え上げられますが、私の場合はどちらかというと、そんなに豊かに体力面で優れていたわけではありませんでしたから、演習の時の裏方や駐屯地の行事の手伝いなどに回される、そんな隊員でした。

小隊の雑務や中隊の事務仕事など、その裏方の適性があった私が語れることは、まず仕事は真面目にすること、そして責任をもって職務にあたる事だと語れます。

いい加減な仕事をすれば、怒られます。

これはどの職場、どの世界に行っても当たり前のようにある事柄です。

まして自衛隊。

どの職業よりも厳しく、どの仕事よりも辛く、どの仕事よりも困難か。

それを語るには多くの時間を要しますが、いい加減に仕事をする自衛官の末路を語り、どれだけ自衛隊の仕事が厳しいものであるかを知って貰いたい為に、今からある話を書かせていただきます。

これはフィクションでは無く、実体験の私の経験です。

まずこの話の前に、私は私と説明させていただきます。

そしてこの話となる相手は、某と書かせていただきます。

名前を出すことは出来ませんが、そこは機密保持のためご容赦を。



不発弾処理で富士演習場にて

800px-Bomb_disposal_in_Sendai_Airport

まず富士演習場をご存知でしょうか?

総合火力演習の舞台として有名な場所です。そこは時にして大口軽火器の実弾演習として扱われたりします。

日米における訓練など、野外で実弾の使える演習場。

無論、そこには沢山の不発弾が存在しています。

不発弾。

この国にいれば、一度はニュースで見たことがあると思います。
前の戦争で地面に埋まったままの爆発しそこなった不発弾が工事現場から発見されるニュースなど、いまだに不発弾は遺されています。

ただこの不発弾。

あくまでも戦争の頃だけの問題ではありません。

演習場にも、現代の演習にも必ず不発弾は発生し、それを処分するのも自衛官の一業務として存在しています。

一日のスケジュール表にホワイトボードに記載されている文面に、不発弾処理探索のメンバー名が記載される日常的な業務内容が、自衛隊にはごく当たり前に存在します。

そしてその不発弾がいかに危険なものか、それを知っているか、知ろうとしているか、知らないでいようとするかで、今後の人生は変わります。

まず不発弾を説明すれば、爆発のしなかった砲弾を指します。

こんなの当然だと思うかもしれませんが、世の中は広く、浅く、不発弾を爆発のしない弾と勘違いする人も当然に存在します。

そんな事ありません。

不発弾は爆発しない弾ではなく、いつ爆発してもおかしくない大変危険な不安定なそれでいて大変気まぐれな時限式の爆弾と思った方が良いです。

自衛隊ならそれを知っていて当然だと思うかもしれませんが、学ぶ意欲のない人間は、そのことを全く覚えようとはしません。

現に自分が使う武器の諸元も知らず、組み立て作業を覚えているだけの、なあなあな自衛官も存在し、そんな人間と仕事をしなくてはいけない危険性も必ず存在しているのが自衛隊の業務なのです。

そんないい加減な自衛官と仕事をしていたのは私で、そのいい加減な自衛官は某一士でした。

形式的には私の部下にあたる彼。

まず彼は高校卒業したばかりの入隊隊員であり、前期後期が終わり、一階級上がり、一士になった彼ですが、自衛官としてはあまりにも学生気分の抜けていない隊員だったと記憶しています。

学生気分。

時間が来れば終わりと、アルバイト感覚で業務にあたる彼。

時にその態度を指摘され、指導を受けていても学ぼうとしなかった人物でした。

そんな彼と不発弾の処理をする事がどれだけストレスの溜まることだったか。

これ以上彼の事を書けば愚痴にしかならないので、本題に入らせていただきます。

まず演習場における不発弾処理は、大抵が目視確認における破片拾いです。

金属探知機なんてものは使いません。

地面の上に転がっている金属片を集める単純作業と思われますが、爆発しなかった、砲弾そのものが残されている場合もあります。

地面が雨で柔らかくなっている時など、そう言う弾が発生する可能性があります。

その時も、迫撃砲の弾の探索で、しかもその迫撃砲の演習を行った日は、不運にも雨の日でした。

雨の日だったら中止にはならないのとお思いの方、残念ですが雨であるとも、風が強い日であろうとも、演習は行われます。

それが自衛隊です。

そんな一番土が柔らかくなってしまう日に迫撃砲を使用してしまえば、当然弾は爆発しないものまで出てきます。

そんな危険物を探しながら破片を拾い集める業務の中で、その某一士はとんでもないことをしでかしてくれました。

そう、事もあろうことか、彼は爆発のしなかった迫撃砲の弾頭。

いつ爆発してもおかしくはない弾頭をそのままに、まるで傘でも持ち歩くかのように持ってきたのです。

普通の自衛官はそんなことしません。

捜索前にも現場指揮官の曹長からも見つけ次第に報告するようにと、徹底した注意喚起がなされたにもかかわらず、彼は弾頭をそのままに持ってきてしまい、事もあろうことか、集めていた破片の山にそれを投げ捨てたのです。

普通なら考えつかない行為です。

行わない行為です。

でも彼はいい加減な人間であり、注意喚起をまるで聴かない人間でした。

火器の諸元を、「オタクっぽいから覚えたくない。」

「戦争ゴッコしているみたい」だとか、真面目に職務を理解しようとしない人間でした。

そんな彼が、信じられない行為をしてもやむなしだと、思えますが、現実にやられる人間は堪ったものではありません。

瓦礫に不発弾の弾頭がゴチンと鈍い金属音を起てて落とされた時、私は悲鳴を上げて、地面に伏せました。

その某一士は私の行動を見て間抜けだと、馬鹿っぽいと笑い、「大げさすぎるビビり」だと言いました。

その時どれだけ憤慨した事か。

ただ怒るよりも呆れてしまい、何も言えませんでした。

私は人を怒ることが苦手な人間で、相手を怒鳴り殴ることのできない人間でした。

そんな性格が災いし、彼が部下や上司など、怖い人間か怖くない人間かで相手を選んでいた、そんな自衛官として思慮の浅い人間だと、その時はじめて気づきました。

その後、私が注意する間もなくに、曹長が何事かと現場に戻ってきます。

私が説明する前に、彼は面白い話をするかのような軽い口調で、私がビビって、大慌てしただけだといいましたが、曹長も放り投げられた不発弾と見て、騒然とした表情を創り、その後に顔を引き攣らせた表情で、某一士を叩きました。

顔の真ん中。

鼻頭に拳を直に叩き込む、格闘徽章の持つ、流石の正拳突きと言ってもいいような拳で、彼を力任せに殴り飛ばし、地面に転げさせるくらいに何度も殴りつけ、怒鳴り声をあげて怒っていたのを覚えています。

その後は、彼がみっちりと曹長に絞られ、一日が終わるまで、全員が就寝に入るまで、指導から解放されずに、日付が変わった時間帯に戻ってきて、何も言わずに床に就いたことは今も忘れることはできません。

この話で学んでほしいのは、自衛隊は遊びではなく、アルバイトでもなく、特殊な公務員の仕事として理解してほしい。

どんな業務に愚直に努めよと、私の所属する中隊の隊規でもありました。

仕事には責任感を持って働くと、ごく当たり前の事と思いますが、そして理解されづらい事と思いますが、この事だけを覚えてください。

そしてどんな仕事でも学ぶ事を忘れないでください。

メモ書きをし、仕事を学び、どう理解していくのかが、重要な事です。

学ぼうとする事。

この事を忘れないでください。

私が話す、自衛隊の経験は以上です。

またお話しできる機会があれば幸いです、

では、また。

2あとがき

私が経験した自衛隊というのは本当に一部です。職種だけでも様々にあります。

どうしても知らないので書けないような内容も多々あります。

今回元対戦車小隊員に書いてもらったようにいろんな職種の人の記事をこのブログに載せることができたらなー、と思っています。

書いてみたい、何か伝えたいという方がいらしたらツイッターかコメントでメッセージをください!!

 - 体験談






Comment

  1. Nolis より:

    ………不発弾のお話、そんじょそこらの怪談よかよっぽど背筋が凍ったミリオタです。

    私の業種でも見かけますねぇこういう人。当方バス会社なので、お客様の命を預かって運行するお仕事です。うちの会社は入社から口酸っぱく言われ、守れなければ乗務禁止ですけども。

    「AがBだからCなのでDはしないようにしましょう」

    という安全第一の運行を

    「つまりDしなきゃいいんでしょ?」

    とABC等の手順を抜かしたり別なことしたり……そして「別に何もなかったから大丈夫だって」という態度。『人の命を預かる』とか『自分の行動がどう影響するか、どういう事が起きるか』というところまで考えが行かない人ってやっぱり居るんですよねぇ……

    1人がやらかすだけでなく、一人一人がちょっとたるむとそれが重なって重なって大きなヌケが……こういった本来の意味の?「自衛隊の怖い話」って、安全教育に大事ですね。自分も肝に銘じます。

    バス業界も昨今重大事故多発していますが、割としょうもない理由や、利益重視人命軽視がご覧のありさまになるのです。

  2. 空自にーさん より:

    はじめまして!
    現職の空自の者です。いつもこちらのサイトを拝見させていただいていましたが、今回の記事を読んだ衝撃が大きかったので、コメントさせていただきました。
    不発弾を投げるとか、信じられないことをする隊員がいるものですね・・・私たちが扱うものは使い方を間違ったら、人を死傷させることになりかねないということは当事者の1士も頭では理解していたはず。
    私の職場でも空対空ミサイルや20mm機関砲の実弾を扱う機会があるので、今回のこの記事を参考に今後の後輩隊員の育成に繋げていきたいと思います。

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